富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤 禎一)は、東京・南青山に富士フイルムグループのデザイン開発とIT開発の拠点「FUJIFILM Creative Village(フジフイルム クリエイティブ ビレッジ)」を新設します。本拠点は、ユーザーの潜在的なニーズをとらえてそのソリューションを形にするデザイン開発拠点「CLAY(クレイ)」と、AIやICTを活用してビジネスの付加価値を創出するIT開発拠点「ITs(イッツ)」の2棟で構成されます。デザイナーとITエンジニアがクリエイティビティを発揮し、パフォーマンスを最大化すると同時に、両部門の力を結集しイノベーションを創発することで、より革新的な製品・サービスを生み出していくことを目的とした拠点です。2023年5月にオープンする予定です。
今回新設する「FUJIFILM Creative Village」は当社デザイン部門がコンセプト作りから建築デザイン、空間デザインまでを手掛けた拠点で、「CLAY」、「ITs」ともに、開放感のある広い窓と、シャープでソリッドなコンクリート造りが特長的な外観を有しています。また、柱のない広々とした空間に、デザイナーとITエンジニアがクリエイティビティを発揮するための設備や工夫を導入。「CLAY」には動画スタジオや3Dプリンター、塗装ブースなどを備えたプロトタイプ制作室、「ITs」には、ITエンジニア同士がディスカッションしコンセプトを作り上げるのに適した小グループのデスクレイアウトや、プログラミングをはじめ集中力を要する作業を行うための個人ブースなど、開発フェーズに応じて使い分けが可能なレイアウトを採用しています。また環境面では、多様な省エネ技術を採用。躯体内部へ断熱材を打ち込むことで断熱性能を向上させるとともに、日が差し込む南面・東面はダブルスキンファサード(建物の外壁をガラスで覆う二重構造)を採用し空調・照明負荷軽減を図っています。さらに、本拠点の使用電力はすべて再生可能エネルギー由来の電力で賄うことにより、カーボンニュートラルを実現する計画です。
富士フイルムのデザイン部門は、美しい外観のみならず、優れた性能や快適な操作性を実現するデザインが高く評価され、日本では「グッドデザイン賞」にて2019年から4年連続最多受賞※1を達成。2019年には大賞(内閣総理大臣賞)を「結核迅速診断キット」で受賞したほか、海外でも世界3大デザイン賞※2などで多くの賞を獲得しています。またIT開発部門は、AI・ICTと、これまで多岐にわたる事業分野で培ってきた先進・独自の技術を融合させ、当社の新たな価値創出をリードしています。特に、医用画像診断分野では、AIと高度な画像処理技術を組み合わせて医師による画像診断をサポートしています。
当社は、社会課題の解決に寄与する新たな価値を創出するためには、デザインとITの密接な連携が欠かせないと考え、両者の力を結集し、イノベーションを創発させて革新的な製品・サービスの開発に取り組んでいます。例えば、当社の携帯型X線撮影装置は、在宅医療のニーズを解決するために生み出された、可搬性に優れた小型・軽量なX線撮影装置です。当社のデザイナーが在宅医療の現場を何度も訪れて、医療従事者が大きな機材を持ち込み、スペースの限られた環境で検査を行う様子を観察する中で、より軽量で持ち運びやすく、より小型で取り回しの良いX線撮影装置へのニーズを発掘。このニーズをもとに、開発チームが低線量でも高画質なX線撮影が可能で、なおかつカバンやケースに収納して持ち運びできるほど小型・軽量なX線撮影装置を創り出しました。本装置は、在宅医療にとどまらず、新興国の地方部や離島などの医療施設へのアクセスが難しい場所での結核検診などにも活用されています。本装置で撮影したX線画像を、AI技術を活用して開発した診断支援ソフトウエアで処理することで、医師による病変の検出や診断を支援できます。さらに当社は、現在、世界中で実施される結核検診の検査から投薬治療までのデータをクラウド上で一元管理し、世界各地の結核対策の状況をリアルタイムで見える化するソフトウエアを開発しています。デザインとITが連携しX線撮影装置の機能・活用方法を広げたことで、医療アクセスが困難な地域にAI技術を活用した出張結核検診を届け、さらに結核対策状況を可視化することでより効率的な対策につなげるという新たな価値を創り出そうとしています。
当社は、本拠点「FUJIFILM Creative Village」を通じてデザイン部門・IT開発部門それぞれの創造性や生産性の最大化を図るとともに、両部門の連携を強化することで新たな価値の創出につながる製品・サービスの開発加速に取り組み、社会課題の解決に貢献していきます。
FUJIFILM Creative Village
東京都港区南青山六丁目6番15号
敷地面積:約2,570㎡、延べ床面積:約4,111㎡
2023年5月
- デザイン開発拠点「CLAY」とIT開発拠点「ITs」の2棟で構成。
- デザイン部門がコンセプト作りから建築デザイン、空間デザインまで手掛けた拠点。
- 外観に開放感のある広い窓とシャープでソリッドなコンクリート造りを採用。
- 「CLAY」のプロトタイプ制作室、「ITs」の個人ブースなど、デザイナーとITエンジニアのクリエイティビティを最大化させるための設備を導入。
「創造」を意味する「Creative」と「人たちの集まり」を意味する「Village」という2つの言葉を組み合わせて、多様なクリエイティブ人材や組織が集まりイノベーションを発信していく拠点にしていきたいとの想いを込めて、「FUJIFILM Creative Village」と名付けました。
「CLAY」は、デザイナーの豊かな発想を自由自在に形作る「粘土(クレイ)」を意味しています。また、「ITs」はITを開発する精鋭たちが集う場所という意味を込めて複数形の「s」を付けて「ITs(イッツ)」と命名しました。
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